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歴代セルマー・サックス解説!【前編】

投稿日:2020年7月3日 更新日:

歴代セルマー解説!セルマーの過去モデルを第一号モデルから非公式モデル、そしてジュビリー前まで解説します①

セルマーはいうまでもなくサックスの代名詞的ブランドですね。
現在はヤマハやヤナギサワそしてその他いろいろなメーカーのサックスも普及していますが
ビンテージ・サックスといえば「セルマー・マーク6」というくらい、セルマーの歴史がそのままサックスの歴史、と言っても過言ではないくらいの存在です。

セルマーの魅力

個人的には、セルマーの魅力は現行モデルよりも過去モデルにこそ面白さがあると思っています。

ですが、意外にセルマーの過去モデルについてについての記事解説がないので、ここで全モデルを紹介しようと思います。
大きく分類して今回解説するのは以下2つのトピックです。

今回解説するトピック

  • 歴代セルマーの見どころ・特徴
  • セルマーの「マニアックな非公式モデルまで含めた」全モデルを実機で紹介(アルト・サックスを使って)

「バランスド・アクション」以前のセルマー・モデルが使えない骨董品だと思っている方、それは大きな間違いです!

前セルマー解説の前に大まかに歴代セルマーの見所をざっと解説させていただきます。
「歴代セルマーのみどころ」それは以下の2つです。

歴代セルマーの見どころ

  1. 大きく分けて3種類の音傾向がある(ここを把握しておくと購入を検討する際べんり)
  2. 意外に知られていない「裏セルマー」モデル(ここを知っておくと自慢できる?)

1.大きく分けて3種類の音傾向がある〜実は素晴らしい魅力を持っているマーク6以前のセルマー達

意外に知られていない事実。セルマー・サックスは機種に関係なくマイナーチェンジを頻繁に取り入れて現代に至ります。
なので、

セルマー・サックスは「機種名+製造年」で音個性が違います。

 

「機種名+製造年によるセルマーの選び方に興味がある方は以下の記事↓↓を参考にしてください。

セルマー サックスの選び方【上級編】機種と製造年・シリアルナンバーで選ぶ

 

そしてかなり大まかに以下の3つの時期で歴代セルマーは「音そのものの特徴」が違います。
(もういちどお断りしておきますが、セルマーは各モデルの中でも製造時期で個性が違います。ですが、ここではもっと大きな意味での”時代的な音質”について述べています。)

 

  • オールド・サックス期のセルマー
  • ビンテージ・サックス期のセルマー
  • 現代セルマー初期

 

以上3期の音質について簡単に解説します。

 

(オールド・セルマー)第一号モデルmodel22(モデル22)からバランスド・アクションまで。

オールド・サックス期のセルマー
  • 音がとても優しく、1940年以前特有の丸く知的な音色です。
  • この時期のセルマーを知ってしまうとマーク6でさえ「良くある現代サックスの音」に感じられてきます笑(トータル・バランスではやはりマーク6にはかないませんが)
  • 音量は今のサックスより小さい(現代ではあまり問題にならない)
  • キィアクションや楽器の構え方などにクセがある・中級者以上でないと個性を生かせないかも
  • テレビやラジオもなかった時代の楽器なので耳に圧倒的に優しい音色!

「オールド・セルマー」は以前は音量の問題で選択肢から外されている感がありました。
現在では安価で高性能のマイクが手軽に手に入るので、音量の問題も充分クリアーできます。

この時代のセルマーを使っているプレイヤーはまだまだ少なく、「現代のどのメーカーのサックスでも代用できない」音個性が最大の魅力です。

<↑ロシアの若手サックス・プレイヤーMakar Kashitsyn。彼はセルマー・「ciger cutter/シガーカッター 」アルト・サックスを愛用しているようです。共演しているテナー・サックスは、最近話題のChad Lefkowitz-Brownです。>

(ビンテージ・セルマー)スーパー・バランスド・アクションからマーク6や7まで

ビンテージ・サックス期のセルマー
  • 言わずと知れた「ザ・ビンテージ」
  • 全てのサックスの基準となる音色。深く、渋く、時期で違いますが基本的にダークな音色。

ビンテージ・セルマーについてはこちらの記事↓を参考にしてください。

アメセルとフラセルの違い

(現代セルマー・初期)スーパー・アクション80からジュビリー前の現行モデル。(シリーズ2,3,リファレンス)

現代サックス初期のセルマー
  • 基本的に明るく独特な倍音が乗った音色。

2.意外に知られていない「裏セルマー」モデル

歴代セルマーの見どころ、2つ目は「裏セルマー」です。
これは何かと言うと、セルマー社や野中貿易さんの公式ページにも載っていない
「マニアックなモデル」や「マニア的分類」「非公式モデル」を私が勝手に命名した分け方です。

例えば、以前は「アメセル」でさえ公式には認められていませんでした。

また、セルマーの「model28/モデル28」と言うモデルも、セルマーの年表に掲載されたのはつい最近のことです。

このように、「中古サックス市場には出回っていてマニアの間では知られているけど、セルマー公式サイトには掲載されていない」と言う個体が未だに存在します。

歴史が長い上に、頻繁にマイナーチェンジをするセルマーは、おそら自社の過去の個体について完全には把握しきれていないと思われます。

こういったところも、マニアにとってはセルマーの魅力(?)の1つです。

具体的には

  • 「第一号モデル」以前のモデル
  • パッドレス・サックス
  • 「ジミー・ドーシー・モデル」
  • SSS(スーパー・サックス)

がそうです。

…今回はここまで!です。
次回、第二回の記事では、「非公式モデル」の紹介です。

<全セルマー解説!セルマーの過去モデルを第一号モデルから解説します【中編】(全3回)>

歴代セルマー・サックス解説!【中編】〜セルマーのマニアックなモデル〜

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