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C.G.Conn ltd最後のモデル『D.J.H.Modified』

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「コーン・リミテッド」名義、最後のモデル「D.J.H.モディファイド」とは??

前回の記事でも触れましたが”C.G.ConnLtd”名義で製造した最後のサックス・モデルが「D.J.H.Modified」です。

1980年にC,G,Connはダニエル・ヘンキン氏に買収され、彼の監修のもとに販売されたのが「ダニエル・ヘンキン・モディファイド〜D.J.H.Modified〜」というわけです。

↑ Daniel Henkin/ダニエル・ヘンキン氏(1930〜2012)<画像元:namm.org

その後ダニエル・ヘンキン氏がコーンを手放す1985年まで生産されました。

監修、といっても当時すでに彼の傘下にあった「Armstrong/アームストロング」ブランドのサックス販売部門である

「H.Couf」ブランドですでに販売していた「Superba」というモデルを流用したものでした。(ややこしいですね)

D.J.H.モディファイドの特徴

↑「DJHモディファイド」モデルに必ず見られるベル部の「復刻版”Naked Lady”」彫刻と「DJH Modified」のロゴ彫刻

完全に「DJH Modified」は「H.Couf Superba」の流用モデルではありますが、以下のような

見た目の特徴を持っています。

    • ベル部に復刻した”ネイキッド・レディ彫刻”が入っている
    • 彫刻の下に”D.J.H.Modified”の彫刻
    • ネック部にもシリアル・ナンバーが刻印されており、「マッチド・ネック」になっている
    • ロールド・トーンホールタイプとそうでないタイプ(ストレート・トーンホール)タイプが造られた
DJH.modifiedバリエーション
  • 90M ソプラノ(中堅モデル/ノーマル・トーンホール・タイプ)
  • 92M アルト (中堅モデル/ノーマル・トーンホール・タイプ)
  • 94M テナー (中堅モデル/ノーマル・トーンホール・タイプ)
  • 106M ソプラノ(プロ・モデル/ロールド・トーンホール・タイプ)
  • 108M アルト (プロ・モデル/ロールド・トーンホール・タイプ)
  • 110M テナー (プロ・モデル/ロールド・トーンホール・タイプ)
  • 122M バリトン

D.H.ModifiedとH.Couf,KEILWERTHサックスを比較してみると

「DHモディファイド」はC.G.コーンがダニエル・ヘンキン氏傘下にあった1980年から1985年まで生産されましたが、

同じ時期の「H.Couf」サックスと「カイルベルト」サックスを見比べると、面白いことに気づきます。

↑コーンの「DJHモディファイド」(108M)アルト・サックス。<画像元:kesslermusic.com

↑H.Coufの「Superba1」アルト・サックス。1982年製<画像元:Reverb.com

↑ユリウス・カイルベルトの「SX model」アルトサックス。1980年代製<画像元: picclick.com

C.G.Connの「D.J.H.Modified」H.Coufの「Superba」そしてKeilwerthの「SX model」この3台の特徴的な「支柱」や「ネック」、「テーブル・キィ」や「ストラップ・フック」などを注意してみると、実は全く同じ管体だということが良くわかります。

↑3台のモデルに共通する特徴的パーツ。左から右手パーム・キィ、真ん中ベル支柱、右がテーブル・キィ。もう1度、この3箇所に注意して3台の画像を見比べてみてください。

ちなみに「H.Couf」は、ジェラルド・アルブライトも一時期愛用していたメーカーなのですが、

実はこの「H.Couf」のサックスは全て「ステンシル」で、カイルベルトのサックスに「H.Couf」のブランド名をつけて販売していました。

つまり「DJHモディファイド」はカイルベルト製、ということになります。

ちなみに「DJHモディファイド」のベースになったもともとの管体はカイルベルトの「New King SeriesⅣ」モデルや「SX」モデルです。

↑こちらのDJHモディファイド・テナー・サックス(94M)は、カイルベルトの「New King series4」 がベースになっています。<画像元: GET A SAX

↑カイルベルトの「New King」テナー・サックス。<画像元: picclick.com

↑珍しい「DJHモディファイド」ソプラノ・サックス(90M)<画像元:ebay

↑こちらも希少な「DJHモディファイド」バリトン・サックス(122M)<画像元:basic-sax

まとめ

この「D.J.H.Modified」生産完了以降のC.G.コーンは、以前の記事で触れたとおり

ダニエル・ヘンキン氏からスウェーデンの投資会社に売却→そのグループ会社の楽器系コングロマリット「UMI」の傘下に統合され、そのUMIがこんどはSteinwayに売却→「Conn-Selmer」として再編成…

という流れになります。

ダニエル・ヘンキン氏がコーンのオーナーになったときにはすでに「安いサックス」しか造っていなかったコーンは、

ヘンキン氏の手を離れたあとも引き続き現在に至るまでその路線を変えていないところを見ると、

このD.J.HModifiedは、ヘンキン氏が「かつてのコーンの威厳をなんとか復活させたい…でも今のコーンではプロ・モデルを造る技術が残されていない…なんとかならないか…」ということからステンシルのプロ・モデルをラインナップにくわえた…という感じだったのかもしれません。

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