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セルマーUSAのルーツは5つの系統に分かれる!【H&A Selmer 2】

投稿日:2021年10月25日 更新日:

<※この記事は製作中です>

セルマーUSAの系統

今回の記事は「セルマーUSA」解説記事の2回目です。
前回の記事でまずセルマーUSA(からConn-Selmerまで)の大まかな流れを表にしてみました。
そして今回は、表に出てくる各モデルの解説をはじめていきます。

セルマーUSAの過去モデルを5つの「系統」に分類します

「系統」という表現が正しいかはわかりませんが、セルマーUSAは時代によってさまざまなモデルを販売しいるので全体像がみえにくいです。

なのでそれぞれの機種の「ルーツ」をたどったほうが理解しやすいです。
そこでここでは大まかに3つに分かれる「ルーツ」を「系統」と表現して整理・解説します。

 

セルマーUSA「5つの系統」
  • 初期のコーン(エルクハート)製「ステンシル」系統
  • 本家「H.セルマー」管体の輸入・販売…いわゆる「アメセル」系統
  • オリジナル・プロ・モデル「オメガ」から派生した系統
  • 途中から吸収した「Buescher」製造ラインから派生した「非プロ・モデル」系統(Bundy,Signet)
  • 台湾・中国製管体の系統

上記の「系統」は時代によって並行して存在していたり、絡み合ったりしています。
ぜひ前回の「流れ」表を参考にしながら読み進めてください。
(表中の一番上に並んでいる項目が、これらの「系統」に対応しています。)

セルマーUSAは販売代理店だった

セルマーUSAの存在をわかりにくくしているのが、「セルマーUSAはメーカーではなくもともと販売代理店だった」という事実です。

アメセルの存在から有名になった「セルマーUSA」は、どうしてもブランドのような気がしてしまいますが、
もともとは本家「H.Selmer」の現地販売代理店です。

その証拠にセルマーの代理店はアメリカ以外にも

    • セルマーロンドン(イギリス)
    • セルマーデュッセルドルフ(ドイツ)

が存在していました。

そして、セルマーUSAと同じく「プロ・モデルは本家のモデルを輸入し、エントリー・モデル〜中堅モデルは他のメーカーの”ステンシル”を販売」
という基本的なビジネス・モデルは共通していたのです。

この基本的な「経営方針」を頭に入れておくと、セルマーUSAに存在する各モデルの「系統」が理解しやすくなります。

 

セルマーUSAは途中から「経営方針」を変更

そしてもう1つ、セルマーUSA独自の大きな要素として「途中から本家の販売代理店から学生向け製品の卸売業に転換」した事があげられます。
ようするに「プロ向けの高い楽器を売るよりも学生向けの安い楽器をたくさん売ったほうが経営がうまくいく」と考えたわけです。

こういった経営方針は今の「ヤマハ」に通じますね。

セルマーUSAはサックスの価格を下げて初心者層を取り込むことで、よりたくさんのユーザーへの販路を切り開いていきます。
こうして培った、アメリカ全土に隅々までに行き渡る「販売網」が「セルマーUSA」の経営の土台となりました。

初期のコーン(エルクハート)製「ステンシル」系統

初期の「セルマーUSA」は本家フランス・セルマーのモデルを輸入・販売しながら、それよりも安い価格帯のモデルを他社である「C.G.Conn」や「Elkhart」に外注して販売していました。

この「外注モデル」は独自の設計ではなく、すでに「C.G.Conn」や「Elkhart」で製造・販売していたモデルに「Selmer」の社名を刻印したものでした。

ちなみに、こういった「他社製品をそのまま流用して社名・モデル名だけを変えて販売する」商品のことを「ステンシル」または「OEM製品」と言います。(ここでは”ステンシル”で統一します)

こういった初期「ステンシル」モデルの販売は、1930年代後半の第二次世界大戦前まで続きました。

 

“Selmer NewYork”刻印モデル

 

“Selmer American”刻印モデル

 

“Geroge.M.Bundy”刻印モデル

 

【”SelmerUSA”と「C.G.Conn」と「Elkhart」の関係】

前回記事の「流れ」表からおわかりの通り、セルマーUSAは会社として設立当初に「C.G.Conn」が約半分の株を持っていました。

そして、「Elkhart」は「C.G.Conn」のオーナーと「Buescher」のオーナーが共同出資して創立された会社です。

「エルクハート/Elkhart」については、以下の記事の「Elkhart Band Instrument Company/エルクハートの”Buescher”」の章で解説しています。

Buescherの表の補足「マニアックなBuescher」

 

※よくこの当時の楽器に”Elkhart”と刻印されていますね。これは「インディアナ州エルクハート」のことです。つまり地名です。
これと別に「Elkhart」という楽器メーカーがあったのです。かなりややこしいですね。

社名「エルクハート」と地名「エルクハート」の大まかな見分け方は
  • “Elkhart-IND”と刻印されている場合は「メーカー名」
  • “C.G.Conn.ltd Elkhart”のように、ブランド名の下などに刻印されているのもは「地名」

…という2点です。

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