TASAKISAXのブログ

「ふくおか」から中古サックスの魅力についての知識と独自のサックス情報を発信します!

中古サックスの魅力

中古サックスに『癖 クセ』はついている?

投稿日:

中古サックスの『クセ』とは?

「サックスのクセ」という言葉、よく耳にしますよね。

在庫サックスに関しても「前の方のクセはどれくらいついていますか」という質問をもらうこともあります。

この「クセ」っていったいなんなんでしょう。

まず結論から。

サックスの「クセ」といわれる症状は、ほとんどがタンポとトーンホールの合わせ方の問題によるものです。ですから、クセがついていると思えるサックスは「前の持ち主によってクセがついている」ということではなく、単に「きちんとした調整がされていない」だけといえます。
タンポは革でできているので、強い押さえ方でタンポに深いミゾができている場合や、応急処置的なやり方でタンポのフタ部分を曲げて、タンポをトーンホールに合わせてある場合などに(タンポとトーンホールの間に)ちょっとしたすきまができてしまうのです。

これが「クセ」といわれる症状を起こします。そのトーンホールが関係している音の伸びが悪くなったり、こもった音になったり音色が変わったりするのです。

ほとんどは「タンポ」の合わせの問題

そうなんです。「微妙な調整がなされていない」ことによる不具合のことを「クセ」と誤解している場合がほとんどなんです。

一部では、「吹き方・息の入れ方が悪いと管にかたよった息の流れができてしまう。 それがその楽器のクセになる」

と言う方もいますが、それは正しくありません。

管体自体がかたよる訳ではなく、「タンポのすきま」と「バネによるフタのしまり加減のバランス」なので

「厳密な調整」を施してもらえば、ほぼ解決できます。

この「厳密な調整」というのは、例えば

「(タンポの接着剤として使われる)シェラックをつける位置や量をちゃんとコントロールできる」

というような、細かいレベルのことです。

私自身も、サックスの調整に

(それも本当の職人レベルの調整に)

立ち会う機会ができるまでは知らなかったことですが、

このシェラックの量・位置だけで

楽器のキャラクターが変わってしまうのです。

(おおげさに聞こえるかもしれませんが、本当です)

 

ごくまれに解消できない『クセ』も

ここまで読んでいただければお分かりのとおり、

ほとんどのクセはタンポを微細に合わせられる職人さんにお願いすることで

解消できる場合がほとんどです。

ですが、以下のような調整ではどうしようもない、

というケースも「稀ですが」存在します。

 

構造上の問題

 

【特定の音がひっくりかえる】

例えば、セルマーのテナーサックス50万番台の個体は

真ん中の「ソ」の音がひっくり返るクセが付きやすい、

という傾向にあります。

 

これは最初にしっかりと『吹き込み』

(管体を手に入れてから、曲を吹かず1音1音ロングトーンをして、全音馴染ませる作業)

をすれば問題ないのですが、

この時期のテナー管体は、

音色に魅力があるものの

他の個体に比べ「吹き込みが必須」という特徴があります。

 

これは、セルマー・サックスの中でも

この時期のテナー・サックスだけに見られるものです。

これはセルマー特有の「頻繁なマイナー・チェンジ」により


この時期だけ高音部のトーンホールが大きくなっているのが原因
のようです。

こういった「もともとの構造からくるクセ」は、

ついてしまうと通常は解消することができません。

※ちなみに、渥美工房さんではこの

「50万番代の構造的クセ」を解消するカスタマイズをしてくださいます。

【低音にウルフトーンが出る】

例えばセルマー60万番代付近のアルト・サックスは

低い「ド#」にウルフトーンが出やすい傾向にあります。

実は低音部のキィのバネがこの時期だけ

短い長さにマイナー・チェンジされているのです。(アルトだけ)

リペア職人さんにとって、こういった場合の

適度なフタの締まり加減の調整は

熟練技が要求されることになります。

そのため「これは楽器のせいだからなおせない」

という判断を下される場合も多いです。

※ちなみに当店でお願いしているパンパイプさん、渥美工房さんはこの点もほぼ解消してくださいます。

まとめ

私も学生の頃は「サックスは使っていた人のクセがついている」と思っていました。

でも、実際こうしてたくさんの中古サックスを扱う立場になると、クセがついたサックスってほとんど存在しないことに気がつきます。

(その前に調整に出すので「クセ」としてほおっておくしかない…というケースがほぼないという意味です)

「クセがついている」となるケースで一番多いのは

「前の持ち主さんがかなり強く指を押さえる吹き方をしていた」

サックスで、

これはタンポに大きなミゾができて、

深くおさえないとタンポにすきまができてしまう、というものです。

ですが、これもタンポの貼り替えと調整で解消します。

「クセ」と呼ばれているものは「原因不明の吹きにくさ」の総称でこれらはほとんど、きちんとした調整とタンポ交換によってなおるものばかりです。

-中古サックスの魅力

執筆者:

関連記事

サックスのアドリブ練習を考える

今日からアドリブ練習を模索していきます ”自分に必要なアドリブ練習を探していく” 今回の記事は「みなさんに教える、と言うスタンスではなくて出口は見えないけど試していくサマを参考にしていただけたら」と思 …

no image

カイルベルト・サックスの基礎知識〜80年代以降編

今回の記事でわかるカイルベルトの知識 この記事では、以下のことがわかるようになります。 1980年代から”シャドウ”に至るまでの、カイルベルトの『近年の歴代モデル』がわかるよう …

KING サックスにはステンシル期とオリジナル期が存在します(キングの全モデル)

アメリカン・オールド・サックスのキソ知識〜KING/キング “KING”モデル(ステンシル/自社モデル)期に入れられていた彫刻。”KING”のモデル名と …

中古サックスの選び方【上級編】C.G.Conn/コーンとマイクロマイクロチューニング・デバイス

コーンだけについているマイクロチューニング・デバイス ネックについている異様なダイヤル…こんなものがついているサックスはあまり見かけませんよね。 ネット・オークションでたまに見かける「C.G.Conn …

Buescherの表の補足「マニアックなBuescher」

Buescherのシリアル・ナンバー表の用語と”いろいろなBuescher”を解説 Buescherは創立当初から他のメーカーとの絡みが多いので、その背景など理解していないと流 …