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「移住」から「買収」までの「ナウハイム期」〜『ユリウス・カイルベルト』の歴史・その2

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今回は『ユリウス・カイルベルト/JULIUS KEILWERTH』の「チェコ・スロバキアからドイツに移住」から「ブーツィー&ホークス/Bootsy&Hawkes」による買収前までを「ナウハイム期」と分類します。

Bootsy&Hawkes以降のカイルベルトについては以下の記事をご覧ください。

カイルベルト・サックスの基礎知識〜80年代以降編

 

ナウハイム期

1947年、ユリウス・カイルベルト一家はチェコスロバキアからドイツ(旧西ドイツ)のナウハイムへ移住します。

ひとことで移住といっても自由意志で移った訳ではなく、ドイツ人が迫害・追放を受ける中での「強制移住」でした。
なのでカイルベルト一家もそれまで培ってきた財産や会社をすべて捨てて出国しなければいけませんでした。
ナウハイムに移住したユリウス・カイルベルトとその家族は、その地でまたイチから「ユリウス・カイルベルト」をスタートします。

最初は楽器の修理業からはじめ、物資の少ない中でサックスを製造・販売するところまで持ち直します。

その後、ドイツのサックス専門ブランドとして見事復活を果たした「ユリウス・カイルベルト/Julius Keilwerth」は1962年にユリウスの息子、ヨーゼフが会社の経営を引き継ぎます。

それから20年後、ヨーゼフは死去し、ヨーゼフの子供達が「カイルベルト/Julius Keilwerth」を引き継ぎ経営しますが、その7年後に「カイルベルト/Julius Keilwerth」はイギリスの「ブーツィー&ホークス/Bootsy&Hawkes」に買収されます。

ナウハイム期の代表モデル

ナウハイム期は、物資が少ない中でのモデル製造期を経て『THE NEW KING』と『TONE KING』モデルを復活させ、マイナー・チェンジを加えながら1970年代まで製造を続けます。

そしてナウハイム期末期の1986年に、ピーター・ポンゾール/Peter Ponzol(1938〜)氏を迎え『PeterPonzol』モデルを開発し、それまでのカイルベルト・モデルを一新します。

 

斬新なデザイン”エンジェル・ウイング/Engel Wing”

この時期の『THE NEW KING』と『TONE KING』はカイルベルトの中でも過去最大にインパクトのあるキィ・カバーを装備しています。

どちらのモデルも通称「エンジェル・ウイング」と呼ばれたプラスチック製のキィ・カバーがとりつけられています。

このカバーは後に「劣化する・割れやすい」という理由でクレームが多く、『カイルベルト』は希望すればメタル製のキィ・カバーに交換する…というシステムで対応しました。

たまにこの「エンジェル・ウイング」期の個体でエンジェル・ウイング以外の個性的なキィカバーを取り付けたものも見かけますが、これはカイルベルト社公式のものではなく

C.G.Connの28Mのように当時、オリジナルの交換用カバーをユーザーが(カイルベルト以外の所で)特注でとりつけた個体です。

 

現代カイルベルト・モデルの元祖!『Peter Ponzol』モデル

>現行90モデルとpeterPonzol特徴比較の画像

【ピーター・ポンゾール/Peter Ponzol】

ピーター・ポンゾール氏はアメリカの有名なジャズ・ミュージシャンです。
彼の名前は、彼のアルバムよりもマウスピースのブランドとして耳にすることが多いですね。
近年では、「アンティグア/Antigua」ブランドの「PRO ONE」というモデルの監修として関わったようです。

ナウハイム期のスタンプ

サムフックの下部に刻印された「THE BEST IN THE WORLD」スタンプはナウハイム期も引き続き採用されました。

ですが、グラスリッツ期のスタンプとナウハイム期のスタンプはよく見るとデザインが少し変更されています。

H.Coufとの提携(カイルベルトのステンシル・モデル)

『H.Couf』ブランドは、アメリカの楽器ブランドですが創立者のHerbert Couf氏はドイツ出身です。
1965年にH.Coufは「カイルベルト/Julius Keilwerth」と提携し、H.Coufブランドのサックスはカイルベルト製のサックスが販売されるようになります。

例えば、グローバーワシントンJrやジェラルド・アルブライトといったサックス・プレイヤーが愛用したH.Coufの『SupervaⅠ』や『SupervaⅡ』というモデルは「カイルベルト/Julius Keilwerth」の当時モデル『ToneKing Special』や『SX Model』と同じです。

カイルベルトの「ステンシル」モデル

カイルベルトはH.Couf以外にもたくさんのメジャー・ブランドにステンシル・モデルを供給しました。

日本ではほぼ見かけることのない(というか知らないとニセモノと思ってしまうかも…)ようなブランド「セルマー・デュッセルドルフ」などなど。

そんなステンシル・モデルについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

(製作中)

『H.コフ/H.Coff』提携から派生したステンシル

Herbert Couf氏は当時のフルート・メーカー『アームストロング/W. T. Armstrong』社の経営陣に名を連ねます。

その後1981年に『アームストロング』社はダニエル・ヘンキン氏に買収され、その流れで『C.G.Conn』の最終モデルにはカイルベルトのステンシル・モデルが採用されることになります。

このあたりについて詳しくは以下の記事を読んでみてください。

C.G.Conn ltd最後のモデル『D.J.H.Modified』

まとめ

「ナウハイム」期以降のカイルベルトについては以下の記事でご覧ください。

カイルベルトの裁判については以下の記事をごらんください。

-中古サックスの魅力

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