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中古サックスの魅力

S.M.L/ストラッサー・マリゴー・ルミール

投稿日:2020年11月4日 更新日:

フランスでセルマーと競い合った銘機

↑”SML Rev,D vs Selmer Mark6”【動画元:Łukasz Pęcak

Strasser Marigaux & Lemaire は1934年にフランスで創業された楽器メーカーで、創業当初からサックス製造に取り掛かりました。

この1934年はちょうどセルマー/selmerが「バランスド・アクション/Balanced Action」を発表する2年前で、セルマーが現代サックスの世界標準となる礎を作った時期にあたります。

S.M.Lの名前となっている創業者のうち、マリゴー/Marigauxとルミール/Lemaireは「ビュッフェ・クランポン/Buffet Crampon」で修行した職人でした。

S.M.Lは「ゴールド・メダル/GoldMedal」モデルと「キング・マリゴー/King Marigaux」が特に有名で、独特な音色と音の伸びから今でも一定数のファンがいます。

そのクオリティの高さから本国フランスではセルマー/Selmerと競い合うほどの地位まで上り詰めましたが、

S.M.Lは1982年にサックスの製造を中止します。
その際、「(営業力で)もうこれ以上セルマーと競争できない」とコメントしたと言われています。

(そしてその後、セルマーもヤマハ/YAMAHAの販売網拡大に苦戦することとなります。)

S.M.Lの歴代モデル

S.M.Lの歴代モデルは製造年代順に以下の通りです。

↑SMLの”コールマン・ホーキンス・モデル”【動画元:Stohrer Music

  • Rev. A (Revision A) 1935年〜1942年頃
  • Coleman Hawkins Series 1940年〜1946年
  • Rev. B 1942年〜1946年頃
  • Super Series 1942年〜1949年頃
  • Rev C. 1949年〜1951年頃
  • Rev. D 1951〜1956年頃
  • Gold Medal (前期/Mark I ) 1956年〜1968年頃
  • Gole medal (後期/MarkII ) 1968年〜1982年頃
  • King Marigaux(KING社のステンシル・モデル) 1969年〜1981年頃

HighF#がついたモデル「ゴールド・メダル後期」「キング・マリゴー」

↑SMLの”ゴールド・メダル”モデル。このモデルは前期/Mark1と後期/Mark2があります。【動画元:Sax Society

今では当たり前についているHighF#キィですが、S.M.Lでは「ゴールド・メダル後期」から「キング・マリゴー」に限られた装備で、当時は革新的なものでした。

キング・マリゴー/King Marigaux

↑当店在庫の”キング・マリゴー”

キング・マリゴーはS.M.Lの実質最後のモデルですが、アメリカの「KING」に依頼されS.M.Lで製造された「ステンシル・モデル」としてアメリカに輸出されました。
正確にはS.M.Lのオリジナル・モデルではありませんが、ゴールド・メダルの後期型を受け継ぎ、実質的な「S.M.Lの最終形」といえるモデルです。

キング・ルミール/King Lemaire

キング・ルミール

↑キング・ルミール。このモデルは造り的にも廉価モデルに位置します。画像元:Saxophone People

「キング・ルミール」というモデルも存在します。これもやはりキング名義=S.M.L企画のモデルですが、アマティ/AMATI社やコーラート/Kohlert社で製造された管体のステンシル・モデルです。なので正確にはSMLで作られたモデルではありません。

おすすめのモデル

実用性の面から見ると、ゴールド・メダルmark2からキング・マリゴーまでがおすすめです。
この2機種の音が明るすぎると感じる方で

オールド・サックスの操作に慣れている方であればRev.Dも選択肢に入るかもしれません。

S.M.Lは、明らかにセルマーと違う鳴りと音色で、しかも「色気と艶」が素晴らしいサックスです。

セルマーMARK6の艶とは違う個性を求める方にはぜひ一度吹いてもらいたいサックスです。

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