ヤナギサワのブロンズ・ブラス管体
今回はヤナギサワの『ブロンズ・ブラス管体』をメインにいろいろ比べてみようと思います。
現在までで、ヤナギサワの『ブロンズ管体サックス』として手に入る中古サックスは以下のモデルです。
ヤナギサワ・ブロンズブラス管体モデル
アルト・サックス
- ヤナギサワ A-902(現在は生産終了)
- ヤナギサワ A-992(992シリーズは、902シリーズよりもブロンズ含有量が多い作りになっています)
- ヤナギサワ A-WO2(現行モデルです)
- ヤナギサワ A-WO20(旧モデルの992と同じ位置付けです)
テナー・サックス
- ヤナギサワ T-902
- ヤナギサワ T-992
- ヤナギサワ T-WO2
- ヤナギサワ T-WO20
ソプラノ・サックス
- ヤナギサワ S-902
- ヤナギサワ S-992
- ヤナギサワ S-WO2
- ヤナギサワ S-WO20
「A-WO20」は過去に単体で吹いた時の感想がありますので、こちらをご覧ください。
ヤナギサワの現行アルト・サックス”WO”シリーズのブロンズ・ブラス管体
AWO2は「WOシリーズ」と呼ばれるヤナギサワの現行モデルです。頭の「A」はアルト・サックスの意味なので、テナー・サックスだったら「T-WO」
ソプラノ・サックスだったら「S-WO」となります。
そして、モデル名にある数字の「2」は、「ブロンズ・ブラス管体」をあらわしています。
ブロンズ・ブラス管体とは??
普通のサックスは「ブラス/真鍮」で管体ができています。
これが「ブロンズ/銅」をまぜた素材で出来ている、と言うことです。
特徴としては、銅からくる赤みをおびた管体です。
【ブロンズ・ブラス管体とブラス管体吹き比べ】
ちなみに、この銅の純度が高ければ高いほど、管体がより赤くなります。
そして、WO2よりも銅の純度が高いのが「WO20」というモデルになります。
ヤナギサワ・サックスには過去どんなモデルがあるのか…?が気になった方は、以下の記事をご覧ください。
ヤナギサワの定番アルト・サックス 902
この「WO2」の前モデルが「902」です。このヤナギサワのいわゆる「90シリーズ」は90年代に開発・発売されてから人気が高く、
かなり長い間、ヤナギサワの定番サックスでした。
WO2と902を吹き比べると??
それでは実際にWO2と902を比べて見ます。
まずどちらも吹いてみて最初に感じるのが「音のきらびやかさ」です。
特に高音は上品にキラキラしている感じで、演奏に入り込みやすいです。
ヤマハ、セルマーとは明らかに違うと感じる音個性です。
ヤナギサワ・ブロンズ・サックスの”重たいほう”992
ヤナギサワのブロンズ管体モデルとして、902よりも多くブロンズを含んでいるのがこの992です。
「エントリー・モデル」や「プロ・モデル」といったグレード的な区別を行っていないヤナギサワ・サックスですが
A-992(アルト・サックス)で言うと当時定価456,750 円で、
A-992がA-902よりもやはり「上位ブロンズ機種」といえるでしょう。
現行モデルでは、「WO20」がこの「992」モデルと同クラスです。
今回AWO20はありませんが、たまたま992があるので、こちらも比べてみようと思います。
ヤナギサワ・ブロンズ管体サックス 992と902の違い
やっぱり992を吹くと、902とWO2とも「断然違う」と感じました。
902,WO2ともすごく吹きやすくて、さすがブラス管体とは違う!と感じる「きらびやかさ」が音に乗るんですが、
992はそれに加えて絶妙な息の抵抗感、というか中低音のザラつき、というか…
そしてこの「絶妙な抵抗感」が、ゆっくりとした曲を吹くときにかなり効いてくるんです。
息の抵抗感=吹きにくい,ではない!
息の抵抗感、というと「吹くの大変なのかな」と思われるかもしれませんが、「サックスを響かせる」にはある程度の抵抗感は欠かせないのです。
全く抵抗感のない管体が音の響きが良い、ということはありえません。
そういった意味では、902よりも演奏に支障のない適度な抵抗感を持つ992のほうが、演奏に表情をつける可能性を感じて
吹いていてより楽しいと感じました。
管体がシルバー素材!最上位機種9937PGPとは、どう違う?
最後にヤナギサワの究極モデル「9937」と比べて見ましょう。
これはブロンズ管体ではなくて、シルバー管体です。
「シルバー・プレート/銀メッキ」ではなくて、管体がシルバーで出来ています。
なので、とにかく重いサックスです笑
さすがに響きは素晴らしく、ヤナギサワ らしさはこのシルバー管体(ソリッドシルバー)が一番だな!と感じます。
余談ですが、ヤナギサワを愛用されている方って、買い替えてもヤナギサワ っていう方が多い気がします。
それだけヤナギサワ の音色は独特で、その音色を気に入った方が使い続けるという感じです。
その「ヤナギサワらしい音色」が一番堪能できるのgA、やはり「ソリッド・シルバー管体」だと思います。(ちなみに、シルバー・プレートとはブラス管体にシルバー・メッキを施した管体のことです。)
その代わり、そのゴージャスな響きの分ソリッドシルバー管体は演奏に細かいニュアンスをつけるには日々の吹き込みを練習が欠かせない、という気がします。
まとめ:自分だったら結局どれを選ぶ??
いろいろ試奏をした結果、個人的な感想になりますが、「ヤナギサワの音色が好きでヤナギサワを手に入れたい」と自分が思ったら、まず992シリーズの中古を探すと思います。
そして992を手に入れて、992を使いこなせるようになったら、ソシッドシルバーの「ネック」を手に入れて992に付けてみる…というパターンだろうな、と思いました。