サックスにアメセル式の調整・カスタマイズを施してより使いやすくしよう!
今回のテーマである「アメセル式の調整・カスタマイズ」というのは
「アメセルと同じ加工・調整をほどこす」
という意味ではなくて
その個体のためのチューニングと調整をほどこす
という意味です。
先に今回の記事の結論です。
- アメセルが今でも価値が高いのは、「個別調整」のおかげ
- 自分のサックスにあったチューニングや調整をしてくださるリペア職人さんを見つけると、サックスの腕が上がる(ホントに)
- ある程度、まじめに練習している方なら、音のひっくりかえりや上手に吹けないフレーズの問題などは「調整」でかなり解決される!
- サックスの個別の調整はプロだけのものではなく、本来すべてのサックスになされるべき
それでは、順に解説したいと思います。
アメセルが今でも価値高いのは、「個別調整」のおかげ
アメセルがすごい、と言われるのは
- その音色
- そして操作性
のバランスです。
これは、
ジャズ用につくられたわけではないセルマーのサックスに
組み上げの最終工程で職人さんが1本1本の
音質や個性、品質のバラつきをカバーするため,
そしてジャズやポップスの奏法にあうように
個々にちがうカスタマイズと調整を施して仕上げていたからです。
現行モデルをそのまま使うのは違うの?
それでは、現行モデルよりも昔のサックスのほうがよいのでしょうか?
現行モデルは昔のサックスよりも「よりパワーが出る」ようには造られていますし
運指の操作性も格段に進化しています。
音や音質に関するちょっとしたパーツや手間にかんしては
おおむね
現代のサックスは昔のサックスよりも手をかけられていないのが現状です。
これは、細かい部分に関しては
「コストダウン」を狙って
どんどん
工程を簡略化しているメーカーがほとんどなのでこういったことがおこります。
このあたりの解説は以下の記事を御覧ください。
つまり、現代サックスをしっかりと調整・組み上げなおしてもらえば問題なし、です。
リペア職人さんも選ぶ必要あり
ただし、リペア職人さんによっては、このような細かい組み直し・調整の経験がない方も意外に多いです。
(ただの修理か、サックスの良さを引き出すことを追求されている方か)
自分のサックスにあったチューニングや調整をしてくださるリペア職人さんを見つける
こういったサックスの歴史的背景や新旧のサックス知識、そして演奏や修理経験が豊富なリペア職人さんを探すしかありません。
私が知るだけでも現在、そういった「サックス本来の音をいかに引き出すか」というスタンスで
修理・調整をされているリペア工房は数カ所しかありませんが
多少、住んでいるところから離れていたとしても一度、
「ただ息漏れを塞ぐ」だけのような修理・調整とは別次元の、こういったカスタマイズを体感されることを強くおすすめします。
都内の某すごいリペア職人さん
「アメセル時代のようなリペア職人さん」の実例として、私はある都内のリペア工房さんでよくサックスの調整をお願いしているんですが、
ここがすごいんです。
何がすごいかと言うと、なんと
「バラし、調整の全作業を、完全に目の前でやってくださる」んです!
この方に会うまでは、サックスの修理・調整というのは、
預けて後日取りに伺う
というやり方しか経験したことがありませんでした。(当たり前ですが…)
まるで「かかりつけのお医者さん」のように目の前で調整
そして、このリペア職人さんは
サックスを組み上げる段階の要所要所で
試奏させてくださり、どういった調整・チューニングを施すとどう音質や操作性が変わるか、をその都度おしえてくださいます。
なので、仕上がったときには自分のサックスがどんな特性で、どこを強化したか…をしっかりと把握できます。
これは毎回、かなりの感動モノです。
もちろん1回1回の調整は長時間になりますし、受け付けてくださる人数も限られてしまいますが
毎回、サックスに新たな発見があります。
まとめ〜音やテクニックの問題は「調整」でかなり解決される!
これは何度も繰り返しお伝えしていることですが、私もサックス屋さんをはじめる以前は
いろいろな職人さんやプロの方にお会いする機会も当然すくなく、調整の必要性もそれほど感じていませんでした。
むしろ、調整やタンポ交換はやり方をYOUTUBEなどでおぼえて、自分でやってしまおう…と考えていた時期もあります。
ですが、「レスポンスがめちゃめちゃ良くて、吹いているだけで楽しい個体」に出会ったり「アメセル時代のようなリペア職人さん」と関わる事ができたり…という経験を経て
「調整・カスタマイズに対するイメージが一気に変わりました。
そして、
現代のサックスはかなり進化していて、ある程度そのまま吹いていても楽しいものです。
ですが、にぎり寿司のように(?)一度は「ホンモノ」といわれるビンテージやすばらしい調整に触れてみて、最高の状態を知ることもサックス上達の近道になります。