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C.G.Conn『トランジショナル/Transitional』はいろいろなバージョンがある

投稿日:2021年10月14日 更新日:

<※この記事は一部製作中です。>

C.G.Conn『トランジショナル』って??

トランジショナルとは「過渡期」という意味です。
これは当時の「正式モデル名」ではなく、マニアによって後からつけられた俗称です。
なぜそんな名前で呼ばれているのか…??
その理由はトラディショナルを何本も見ていくとよくわかります。

『ニュー・ワンダー』から『ネイキッド・レディ』への過渡期

『トランジショナル』と呼ばれる時期はコーン/C.G.Connの2つの代表モデル『ニュー・ワンダー』と『ネイキッド・レディ/レディ・フェイス』の間です。

このあたりはコーンのシリアル・ナンバー年表もぜひ参考にしてください。

C.G.コーンのシリアルナンバーと各モデルの比較〜ヴィンテージ・サックス〜

「ネイキッド・レディ」について

「ネイキッド・レディ」モデルはいろいろな呼び方があります。
正式な名称は「アーティスト・モデル」といいます。このモデルについて詳しくは下の記事を読んでいただきたいのですが、
別名として
・「Mモデル(アルトは6M/テナーは10M)」
・「アーティスト・モデル」
・「レディ・フェイス」

などがあります。ここでは「ネイキッド・レディ」の呼び方で統一します。

Worcesterから最後のモデルまで!C.G.コーンの歴代モデル解説

現代ではモデルチェンジといった時、販売前にちゃんと再設計され商品化されたものが発売されますよね?
ですが、この「トランジショナル」期は、発売されるたびに個体単位で部分的な改良が採用され、最終的に次期モデルの「ネイキッド・レディ」に変化をとげる…
というとても興味深い時期なのです。

なので、トラディショナルといってもいくつかのパターンが存在します。

  • パターン1:ベル彫刻だけ「ネイキッド・レディ」もしくは「アート・デコ」
  • パターン2:テーブルキィとネックが「ネイキッド・レディ」
  • パターン3:ベルのトーンホール配置が「バタフライ」でなく「左揃え」
  • パターン4:サムフックが「ネイキッド・レディ」
  • パターン5:ほぼ「ネイキッド・レディ」〜テーブルキィだけ「ニュー・ワンダー」で彫刻が「アート・デコ」

当時モデル「NewWonder」から「ネイキッド・レディ(Mシリーズ)」へと徐々に代わっていくさまが見られます。

ぜひ画像で確認しながら読み進めてください!

「トランジショナル」モデルの定義

まず、どこからどこまでをトランジショナルとして分類するか(されているか)をはっきりさせておきましょう。

ニュー・ワンダーからMシリーズへと徐々にマイナー・チェンジしていったので、ごく初期の「トランジショナル」個体はパッと見、『ニュー・ワンダー/NewWonder』とほとんど違いがわからない程度の個体も存在します。

トランジショナルを見分ける特徴
  • 「アート・デコ」調の彫刻もしくは「レディ・フェイス」彫刻
  • 左並びのベル部トーン・ホールとキィガード
  • テーブルキィ
  • アンダースラング・タイプのネック
  • 可変式サムフック

 

「アート・デコ」彫刻とは、レディ・フェイス彫刻になる前の「過渡期」だけに見られるデザインです。これはもちろんニュー・ワンダー期には見られないデザインです。

上記のとおり『トランジショナル』はニュー・ワンダー管体に「アート・デコ」彫刻が彫られだした時期からになります。

なので、ごく初期の『トランジショナル』はベル部彫刻以外は完全に「ニュー・ワンダー」です。

 

いろいろな『トランジショナル/Transitiona』

それでは実際に、いろいろな『トランジショナル』を製造年代順に見ていきましょう!

ベル彫刻だけ”アール・デコ”調

(※画像製作中です。)

画像でご覧いただける通り、こちらの個体(シリアル・ナンバー212691)は完全に『ニュー・ワンダー2/NewWonderⅡ』の管体です(1929年頃の個体)。

唯一『ニュー・ワンダー』と違うのは
彫刻がそれまでの管体には見られなかった通称「アート・デコ」彫刻になっていることです。

【まだ彫刻が完成されていない・テーブルキィがNEWWONDERのままバージョン】

(※画像製作中です。)

こちらの個体(シリアル・ナンバー247964)は、アート・デコ彫刻が徐々にネイキッド・レディ・デザインに固まっていく様子が見て取れます。

まだ「ネイキッド・レディ」の女性の顔はありませんが、中央の5角形とその周りのデザインはほぼできあがっています。

【ベル彫刻が「ネイキッド・レディ」管体は完全に「ニュー・ワンダー」】

(※画像製作中です。)

他のメーカーでもそうですが、サックスの新モデル導入の順番はたいていアルトからです。その後テナー、そして最後にソプラノ、バリトンという順番が一般的です。

このテナーも、シリアル・ナンバー(259xxx)という事からアルトが完全に「ネイキッド・レディ」に移行した頃にテナーに新デザインが導入されはじめたことがわかります。

ベルのトーンホール配置・サムフック・ネックが「ネイキッド・レディ」

(※画像製作中です。)

この個体(シリアル・ナンバー247xxx)はほぼ「ネイキッド・レディ」になっています。

ベルの配置が左揃えで可変式サムフックを装備。ネックもしっかりと「ネイキッド・レディ/6M」のものになっています。「…これ、完全にネイキッド・レディじゃない??」と思ってしまいますね。

…でもテーブル・キィをよく見てください。まだ「ニュー・ワンダー」のままです。

ベル部の彫刻も、ほぼ「ネイキッド・レディ」のデザインですが、完全には「ネイキッド・レディ」のデザインになっていませんね。

 

まとめ

トランジショナルは「ニュー・ワンダー管体にアートデコ彫刻が彫られ始めた」初期バージョンが1930年頃から見られます。これはニュー・ワンダー後期にあたり、シリアル・ナンバーでいうと238xxx番台から現れます。

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