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サックスは汚いの?〜コロナ時代のサックスのお手入れについて〜

投稿日:2020年11月25日 更新日:

サックスは汚くないの?


コロナ第3波が心配される今日この頃。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

私自身もコロナによっていろいろな事が変わりました。

仕事環境、住居環境などなど‥

いろいろな価値観が変わる中で確実に一番変化したのが

みんなの「殺菌」「抗菌」の意識でしょう。

そこでサックスとして最近ちょくちょく話題になるのが

「中古サックスって汚くないの??」ということ。

結論から書きます。

  • 中古、新品に限らず管楽器の中は雑菌の温床(要は”汚い!”)
  • 今までやってきた日々のお掃除のしかたでは菌は全く取れていない
  • コロナに限らず、殺菌・抗菌を取り入れたクリーニング方法に変えるべき(最悪、身体に悪影響も?)

 

私も気になってコロナに限らず殺菌、抗菌と言う面からサックスのメンテナンスを検証したり調べたりした結果

驚きの事実をネット上で見つけたのでこの機会にお伝えしようと思います。

またコロナ以降、私自身が実行しているサックスの掃除の仕方も
参考程度にご紹介しようと思います。

驚きの事実:実は管楽器の中はかなりヤバい!


コロナをきっかけに「管体の衛生度」について調べ始めたわけですが、
ネット上で以下2つの「ヤバい」結果を見つけました。

1.高校生の研究結果

まず1つ目は、以下のPDFレポートをご覧ください。

この研究レポート中に以下のような結果が出ているのです。

~結論~
水洗いしても菌は減らない。特に内部は手入れの効果が見受けられない。
金管の場合、表面は強く拭くことで洗浄効果がある。木管の場合、リードは吸水性があるため菌の除去が困難である。
楽器の手入れの仕方を見直すべきである

出典:愛知県立稲沢東高等学校 中高生の科学研究実践活動推進プログラム活動報告

2.イギリスでは楽器の中の雑菌が死亡の遠因になったとみられる例も

そして衝撃の記事2つ目です。
これはイギリスで起きたことのようですが、

楽器中に繁殖した雑菌が奏者の身体に影響を及ぼし、死に至らしめた可能性がある、

という内容です。(この場合の楽器はバグパイプ)

出典:メディカル・トリビューン/Medical Tribune 2016年

今までのサックスお手入れでは「アウト」

確かにサックスはすぐ緑青(りょくしょう)が出たり、梅雨にはちょっと油断するとタンポに白カビがでたり‥しますよね。

これはサックスをやっている方なら多少経験があると思います。

すぐにカビが発生するということは…深く想像したくありませんが

「目に見えないけど繁殖するための苗床はできてしまっている」ということですもんね。

しかももっと怖いのは「昔からサックスの掃除といえばスワブとクロス。

なのにこのスワブとクロスが雑菌を拭きとってくれてはいない
という事実です。

これは一刻も早く「除菌・抗菌」ができる掃除方法に切り替える必要があります!

問題はリード

さらにさらに、上記の高校生の検証によると、リードは水洗いによってかえって菌が増えているという事実。

つまり、リードは汚れを拭き取ってから消毒する、というお手入れ方法が必要ですね。

ここまでまとめると‥

今までのサックス掃除ではいろいろな菌が繁殖するだけ。
特にリードは繊維に水分が残り菌が繁殖する。水洗いはNG

消毒液・クリーニング剤はなんでも良いの??


消毒・殺菌が必要なのは分かった。ではどんな消毒液を使っても良いの?ということでヤマハさんの以下の記事をみてみましょう。

<ヤマハさんの記事によると>

ヤマハの資料によると、どうやら「界面活性剤」というものが入ったクリーナーを使うのがベストのようです。

木管楽器の消毒・洗剤による使用可否 出典:ヤマハよくあるお問い合わせ(Q&A)出典:ヤマハよくあるお問い合わせ(Q&A)

上のヤマハさんの表で分かる通り、サックス管体には「界面活性剤入り中性洗剤」が無難なようです。(詳しくは、ヤマハさんの本記事をご覧ください)

‥でも界面活性剤って?もう少し調べてみました。

界面活性剤とは?

界面活性剤とは「洗剤」の名前ではなくて「本当は混じり合わない要素と要素を浸透させるためのもの」という感じのようです。

ですから洗剤に限らず、カイメンカッセイザイはマーガリンや化粧品なんかにも使われるそうです。

ちょっと範囲が広すぎてイメージが掴めないですね。

そして気をつけなければいけないのが

「界面活性剤には毒性が強いものもある」ということ。

必要な部分だけかいつまんでいうと、

界面活性剤は…
  • アルコール由来のものは人体に入れてはいけない
  • 食品由来のもの(食用乳化剤というそう)は影響ない

 

ということです。

ちなみに、上図の「使って良い洗剤」の表中にあるエタノールは「アルコール系」です。消毒には有効ですが、体には入れない方が良いものです。

ヤマハの「マウスピース・クリーナー」

もっと素人にもわかりやすく「人体に入っても平気で、雑菌を掃除できる」クリーナーは市販されていないかな‥と探していると、ヤマハさんに以下のような商品がありました。

↑これがそのヤマハ「塩化ベンザルコニウム」入りマウスピース・クリーナー。(詳しい使い方・成分については画像をクリック

この「マウスピース・クリーナー」ヤマハの商品詳細ページによると、以下のような説明があります。

本品に配合の塩化ベンザルコニウムはNITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)により新型コロナウイルスに有効であることが確認されました。

出典:ヤマハ・ホームページ

塩化ベンザルコニウムって??

これは良さそうです。ヤマハのマウスピース・クリーナーは「塩化ベンザルコニウム」という界面活性剤の力で「コロナに有効」ということのようです。

これは本来マウスピース用途だけど、これでサックスまわり全部消毒できるんじゃ?

できればコロナに加えて他の危ない雑菌にも効いてもらいたい!

そこで以下の点について「塩化ベンザルコニウム」について掘り下げてみました。

<塩化ベンザルコニウムについてのギモン>
  • コロナ以外の菌には効くの?
  • 口に入っても平気?
  • タンポやリードには?

‥そしていろいろ調べて「塩化ベンザルコニウム」について判明したことは以下の通りです。

<塩化ベンザルコニウムの効果>
  • 塩化ベンザルコニウムはブドウ球菌などの一般細菌などの消毒・抗菌に有効
  • もともと粘膜(口の中とか)の消毒に使われている
  • 革製品のカビ除去にも有効

 

つまり「タンポのカビ対策にも使える」ってことですよね。

これは素晴らしいです。

補足すると、塩化ベンザルコニウム(の希釈液”薄めたもの”)は、なるべく早く使い切った方が良いみたいです。

※また、原液での使用は厳禁です。このヤマハのマウスピース・クリーナーのようにあらかじめ規定の濃度に薄めてあるものを使いましょう。

 

私のクリーニング方法

上記の知識から総合した結果
私は日々のメンテナンスを以下のようにしています。

<私のサックス・日々のメンテナンス方法>
    • 練習が終わったら、なるべく大きいスワブ(私はヤマハのモンスター・スワブを使っています。)にヤマハのマウスピース・クリーナーを充分吹きかけ、何度か管体に通す(ネックもマウスピースも同じスワブを使います。スワブは通しきらずに両端のヒモを持ってゴシゴシ動かしましょう。そのためにも”テナー用モンスター・スワブ”がおすすめです。)

↑ヤマハの”モンスタースワブ”(詳しくは画像をクリック)お持ちのサックスがアルトでもソプラノでもテナー用を買うのがおすすめ。大きい方が掃除が断然ラクです。

    • タンポの水分をとってから「クリーニング・ペーパー」に先程のマウスピース・クリーナーを吹きかけ各タンポに通す(何回も使えるパッド・ドライヤーという小物もありますが、何度もクリーナーを染み込ませた状態でそのままにしておくと、これまた雑菌の温床になってしまうそうです…)

↑Galax ギャラックス クリーンペーパー。(詳しくは画像をクリック)今は何度でも使えるクリーニングパッドがありますが、病院での検証実験では消毒液を浸透させたガーゼなどを長期間そのままにしておくと雑菌が繁殖することが分かっています。なので面倒ですが消毒液を染み込ませるなら使い捨てのクリーニング・ペーパーが無難です。

サックス買取ラボふくおかのサックスも同じお手入れをしています

もちろん、上記の事実を知ってから、私が関わっている「サックス買取ラボふくおか」の在庫サックスやマウスピースも同じ方法でお手入れしています。

まとめ

今回の記事で、サックスは掃除を怠るとコロナに限らず人体に影響を及ぼすほど不潔になる可能性があるということがわかっていただけたと思います。

サックスは「完璧に清潔」とはさすがに思っていませんでしたが、まさかここまでとは…

これを機会に「殺菌・抗菌」という意識は取り入れましょう!

でも何事もやりすぎ・気にしすぎはよくありません。

クリーニングも極端に神経質になりすぎないように。

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